2014年10月16日木曜日

写真の魔力





個展でも
大きく展示している
大切な随想があります


それは
亡くなってしまったある友達を想って綴ったもの


闘病の末亡くなった人


それはあまりにも突然で
悲しみに暮れていた日々に追い打ちをかけるように
その知らせは降り掛かってきた


どれほどの時間が経過していたのかはもう分からない
とてもシンプルで簡潔なものだったのに
何回も 何回も
その短い文章を読んで


あたしは理解するのに
とても時間がかかった




ようやく理解した脳は
もう一生あの人に逢えないと認識を変換し
これまたシンプルでどうしようもない答えが
最終結論として下された




あの人は死んだ




涙は枯れていたはずなのに
その下された結論の果て亡き拷問が
瞬く間に支配して


セントラルヒーティングで居心地が悪い程温かく
湿気をふんだんに含んだ
あの部屋で


薄い壁を隔てた隣の部屋のルームメイトの事も気にせず
声を上げて泣いた



来る日も来る日も
ほとんど外にも出ないで

泣いて
疲れて
寝て

を繰り返した


唯一
悲しみを忘れさせてくれるのが
映画だった


2時間程の時間は
その頃のあたしには
とても有り難い時間で

その話にのめり込んで
眠りにつくことができた

眠れない時は
2本でも3本でも
映画を見続けた



それから
何故かよく
あの人に逢いたくなった

どの国に行っても
想い出しては
逢いたくなった


あの人は
ソウルが大好きで
あたしが聴くソウルの趣味と
とてもよく似ていた


流れる音楽に身を任して
お互い同じ好きな曲に反応したりした


あの人は
あたしよりも
もっとソウルの深いところを知っていた


今でも
あたしの大好きな曲

the manhattans の shining starを聴くと
必ずあの人の事を想い出す



そういえば
一度だけロンドンからあの人に
手紙を書いた事がある

その時も もう仕事も辞めて
家で治療に励んでいるという話を聞いて

あたしは
あたしのあの人に対する気持ちを
ぎっしり書き綴った


”またあたしが日本に帰ってきたらみんなで呑もうね
絶対 絶対呑もうね”



あの人は果たして
読んでくれたのだろうか



死と隣り合わせに怯えて
苦しむ毎日に
少しの光を差し込む事ができたのだろうか




何気に
昔の写真を見ていたら
一緒に遊んでた写真達がでてきた



ふと
まだいるんじゃないかって
今も元気にお酒呑んでんじゃないかって


変な感覚に陥った




写真って怖い



あの人は
もういないのに



あたしは
あの人の最期を見ていないから
何も実感が湧かなくて


さよならも言えていないから


あの時の笑顔のまま
そのままあの人との世界が止まって
蠢いている


漂い
彷徨う
色の名も分からぬ
色彩の薄いそれらは


掴む事のできない
あの人のように思えて仕方がない


あの人は
自らの死をもって
沢山の大きくて丸くて
甘い匂いが立ちこめる
それらに変えて
あたしに大切なものを教えてくれたように思う








DEDICATED YOU WITH BIG LOVE
FOREVER


MINAel

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